はじめてのサンティアゴ

二泊三日の短い間だったが、チリの首都サンティアゴへ行ってきた。(Santiago/pop. 465万人)


interesting vegetation !車窓より。興味深い植生。

私の住んでいるビニャ・デル・マールからサンティアゴまでは、高速バスで約1時間半。International Student Identity Card を大学で取得していたので、片道3,200 peso のバス代が1,800 pesoになった($1=約545 Chilean Peso)。このカードは身分証名証代わりにもなり、博物館、映画館、飛行機利用時など、さまざまな場所で割引を受けることができる。


Estacion Central−1 
パリのエッフェル塔を設計したギュスタブ・エッフェルによる建築


Estacion Central−2

市内の移動は一日に約100万人の人たちが利用する、地下鉄(メトロ)が便利。清潔、静かで、本数も多い。料金は利用する時間帯により異なる。       6:30〜7:15、9:00〜18:00、19:30〜10:00が最も安く、料金は340peso。ラッシュアワー時(7:15〜9:00、18:00〜19:30)は、430pesoとなる。友人は、Multiviaと呼ばれるTouch & Go 式のプリペイドカード(追加チャージ可能)を利用していた。東京の地下鉄もこのシステムを採用したら、混雑は緩和されるのだろうか?

さまざまな駅でアート展示等も常時開催されているようなので、駅巡りも楽しそうだ。


Metro, Santiago -1


Metro, Santiago -2

このメトロ内でちょっとしたアクシデントが起こった。
たまたま友人とは別行動をしていた時のこと。突然メトロがトンネル内で急停車し、停電になった。すぐにアナウンスが流れ、車内に居た人たちも落ち着いていたので、アナウンスの内容は分からなかったが、すぐに動くのだろうと安心していた。しかし次の駅で乗客は全員降りるように言われ、何が起こっているのか分かぬまま他の人々に倣い行動したが、そのうち人々は、驚きと諦めの声を上げながらプラットフォームを離れ、地上へと続く階段を上り始めた。私には全く訳がわからない。どうしたものかと途方にくれていると、そこへ一人の女性がやってきて、私にスペイン語で「どうなってるの?」と話しかけてきた。
「私にも全く分からないです・・・ところで英語は話せますか?」と聞くと、流暢な英語が返ってきた。これは珍しいことだ。彼女が他の乗客に聞いてくれたところ、この先で人身事故があり、しばらくこのラインは不通になるので、バスで移動しなければいけないということだった。路線バスは、地元の人でもいつも使うルート以外は良く分からないと言われていたので、またまた考え込んでいると、先ほどの若い女性が、私の行き先を聞いてくれた。幸運なことに彼女は私の目的地よりも更に先に行くので、連れて行ってくれると言ってくれた。
彼女は普段は車で移動していてメトロやバスは使用しない生活を送っているのだが、自家用車が故障していてたまたまメトロで移動していたそう。
英語もドイツ語も堪能な彼女は、チリの大きな種会社で働くバイオエンジニアだった。普段はチリの南部に住んでいて、たまたま週末サンティアゴに来ていたそうだ。私たちは移動中もいろいろと話し込み、お互いの連絡先を交換し再開を約束した。一時はどうなることかと思ったが、思いがけずチリ人の友達ができた。いつか訪ねてみようと思う。(彼女の写真を撮らなかったのが残念!可愛らしい人だった。)


en restaurante "Kintaro (cocina de japonesa)"
日本料理店「金太郎」にて。一人1,200円程度でお腹いっぱい!

その夜は、友達の友人たちと合流をし日本食を食べに行った。
私が日本食を食べたいだろうと思い、彼らは「金太郎」というお店をあらかじめ探しておいてくれた。ほとんどの人は日本食を食べるのは初めてで、おすすめ料理を注文してくれと言われた。メニューの中から、お寿司盛り合わせ、餃子、焼きそば、すき焼き、味噌汁を注文した。どの料理もとても美しく盛り付けられて出てきた。チリ人の友人たちは、“Muy rico !(とってもおいしい)”と喜んでいた。私も久しぶりの日本食と彼らの心遣いに嬉しい夜となった。

翌日は日本大使館で教えてもらったオリエンタルマーケットに行き、日本酒、味噌、みりん、豆板醤、辛ラーメン(韓国の辛いラーメン)、胡麻油、白胡麻、乾燥わかめ、わさびチューブを購入。「日本食を作って!!」と言われることが多いので、今回の調味料の購入でバラエティが広がりそうだ。


Estacion Mapocho
名前の通り以前は駅として使用されていた。現在は、劇場、コンサートホール、展覧会、カフェを併設したサンティアゴの文化中心地として活躍中。この日は、サルバドール・ダリ展が行われていた。展覧会自体も素晴らしいものだった。


Estacion Mapocho, inside the building


Palacio de la Moneda (モネダ宮殿/チリ大統領府)
Designed by Italian architect Joaquin Toesca 1784年着工、1805年完成

1973年、モネダ宮殿はアウグスト・ピノチェトを中心とする軍部により起こったクーデターにより破壊されたが、現在は修復され今ではその面影もない。


Palacio de la Moneda モネダ宮殿前(憲法広場)にて


Concha y Toro = "貝と牛" 、という名前のBodega (ワイナリー)
サンティアゴ市内からメトロとバスを乗り継いで約90分で、有名なワイナリー「Concha y Toro」の入り口に着く。英語かスペイン語のツアーを選んで、6,000ペソを支払うと約1時間のツアーに参加することができる。気になるテイスティングは2回。まずは目、鼻、そして最後に口に含んで味わって・・・と説明をされるが、説明はかなりもったいぶっていて、待ちきれずに多くの人たちが、「まずは目」の段階で飲み干していた。


Concha y Toro の悪魔 
あまりのワインの美味しさに、“ワイン泥棒”が続出。対策として、「この蔵には悪魔が住んでいる」と噂を流した。その後、盗み飲む人は居なくなったそう。こんな小粋な仕掛けも。


Centro, Santiago
アンデスの山々を市内のあちらこちらから望むことができる。

残念なことに、街の中はひどい大気汚染のため、帰る頃には喉や目が痛くなってしまった。

どこへ行ってもされるのが、「日本人はチリ(国)やチリ人をどう思っているのか?」という質問だ。こんなときは本当に申し訳なく思うのだが、「ほとんどの日本人は南米=チリ=危険、と考えている人が多い。しかも、チリについての情報はほとんど目や耳にすることがないため、正直に言って日本人の持つチリへの印象は無いに等しいと思う」、と答えている。

しかし、私の考えていた南米、そしてチリのイメージは日々変わっていく。
これは私個人の経験でしかないが、このブログを読んでくれている人たちが、白黒でしかなかったチリという国や人々に、さまざまなカラーを見つけ、今まで遠くに感じていた国に対してまた新しいイメージを持ってもらえたらと思う。