日本語クラス・3ヶ月後

「おつかれさまでした!」

クラスを終えて帰ろうとしたら無遅刻・無欠席のマルセラさんが「お知らせがあります」と立ち上がった。
「はい何でしょう?」と向き合うと、「まうさんにみんなから感謝の気持ちを込めてアサード(焼肉)パーティーをプレゼントしたいと思います。ぜひ来てください。」

ええ〜っ!!嬉しいよお!

前日みんなで買出しに行ってくれたようで、当日はすべて準備が整っていてびっくり。いつもの彼らはこんなに足並み揃わないんだけどなあ。みんな大好きアサードだもんね。

初めての授業の日のことを思い出した。
学部もバラバラ、全く知らない者同士が一つの部屋に集まった。「日本語教室」がどのように展開していくのか、やっていけるのか生徒たちは不安、緊張そして期待の表情を浮かべていた。
私はというと前日万全の準備はしたものの、やはりものすごく緊張をしていて、食入るように見つめてくる彼らの視線が痛かった。
自己紹介をした後に、「日本語を学びたいと思った動機」について聞かせてもらった。彼らがクラスに期待することを聞きながら「大変なことになったぞ」と思うのと同時に妙にゾクゾクと興奮したことを昨日のことのように憶えている(マゾか、やっぱり)。きっとあの日は一生忘れないと思う。

焼きたてのステーキをいただく前に、私や授業に対してのスピーチをしてくれた。

「こんなに自分でも長続きするとは思わなかった!来年必ず留学したい!」
「まうがグループに日本語を教えるのは初めての経験だと今日聞いて驚いた。もう何年もこの仕事をしているプロだと思ってた。」
「20分遅刻をして無言で教室に入ったとき、教室にいる人全員に対して礼儀が欠けていると怒られた。そういう風に注意されたことがなかったから驚いた。しばらくものすごく怖い人なんだと思ってた。」
「情熱溢れるダイナミックな授業に引きこまれた。今まで受けたことのないタイプの授業だった。」
「チリと日本の文化や考え方の違いを考えるようになった。」
「自分では間違えた答えを言ったり、形の悪いひらがなを黒板に書いたと思っても、”おしい!素晴らしい!味がある!いいよ!”といつも大笑いしながら褒めつつ間違いも直してくれるから、のびのびと授業を受けることができた。」・・・などなど。普段言わないようなことを語ってくれて返す言葉が見つからなかった。ただただ「グラシアス(ありがとう)」を繰り返すだけ。

お餅をぺったん、ぺったんつくみたいに、わたしとみんな順番にお互いの調子を見ながら続けていくことができた結果だと思っている。「私」だけでもだめ、「みんな」だけでもだめ。良いことも悪いことも共有しつつ、一つのものが形作られていくのをみんなで感じていられたから今日がある。

最後に素敵なチリみやげまでいただいた。
深夜2時半。ステーキの残りまでタッパーに入れて持たされた上に、マンションの前まで送ってもらった。ベッドに横になってからも、余韻覚めやらず。
楽しかった時間を思い出して興奮してしまいなかなか眠れなかった・・・みんなからもらった優しい気持ちにすっかり酔ってしまった。
まだまだ課題は山積みだけれど、自分に向いていること、好きなこと、続けていきたいこと、やっていけそうなことの軸がしっかりした3ヶ月間だった。

このクラスはあと1回で終わってしまうけれど、毎年このメンバーで同窓会を開こう!ということに。
まうさん、その時期にはどこにいても必ず戻って来て下さいと言われたけど・・・どこでもドア出して!


おまけ
アルバロさんちの三毛。名前はトマシータ。アニメになりそうな顔してら。