え?プライベートですか?

昨日から本格的に授業が始まった。
家から大学まで早足で歩いてもたっぷり40分。これが日本だとちょっと大変かな。でも私が住んでいるのは街の中心部。歩いていてもとても楽しい。思わずきょろきょろ。でも気を付けなきゃ。歩道と言っても穴だらけ、段差だらけ。ボケッとしてはいられない。

授業は毎日3時間のプライベートレッスン。
最初はクラスメートがいなくて寂しい気もしたけど、これがなかなか快適なのだ。私のペースで全てが進んでいくなんて、なんて贅沢。
これが日本の語学学校だったら、ものすごい費用かかるんじゃない?なんて頭の中で計算してしまう。

最初の90分はスペイン語文法の授業。
講師は29歳のパトリシア。6ヶ月の赤ちゃんがいるママでもある。とても物静かな女性で落ち着いた雰囲気。授業はテキストに沿ったものだが、私がすぐに理解する箇所はどんどん進み、苦手な分野では臨機応変に応用問題を多く組み込んでくれる。宿題の出し方も面白い。「チリの大統領に手紙を書いて来ること」。これが最初の日の宿題だった。そして私はスペイン語だけでなく、リカルド・ラゴス大統領とそれを取り巻く社会情勢についても調べることになる。このような授業展開は大歓迎。スペイン語初心者でも、頭の中は一応大人だからね(笑)。

次の90分は27歳のカルロスによるコミュニケーションの授業。
まずは私の英語的な発音を徹底的に矯正。これがなかなかまどろっこしい。普段の会話でも発音をきちんとチェックされるので気を付けて話すようになった。こういう積み重ねが一番大切なのは良く理解しているつもりなので、きちんと注意してもらえることに感謝している。

二人の素晴らしいところは、確実に間違いも直しつつも、またある時には思いっきり褒め上げるところだ。思わず私もにやけてしまう。そして、何よりも助かるのが英語が堪能なことだ。普段はスペイン語のみでの授業だが、詳細な説明が必要なときにはお願いすれば英語で説明もしてもらえる。特にカルロスの英語力には感心してしまう。かなり勉強したんだろうなと思わせる語彙の豊かさだ。しかし大学で英語教育を専攻していたとはいえ、一度も英語圏を訪れたことはないそうだ。ただしアルゼンチンで2年間、宣教師をしていたことがあり(?!)、アメリカ人宣教師たちと英会話する中で多くを学んだと話していた。

日本の英会話学校で働いていて、生徒から良く言われたことが、「先生がきちんと自分の悪いところを直してくれない。明らかに間違っている時でさえ注意してくれない」というものだった。それについて講師の意見を聞いてみると、「ここはコミュニケーションとしての語学を学ぶ場所だ。多少間違っていても話すことが大事だ。間違いを指摘しすぎると生徒が思い切って話をできなくなる」とのことだった。
これについては、お互いの言い分は良く分かり、一つの答えを出すことは難しい。当たり前のことだが、その人(個人)によって目的や適切な勉強方法は異なるからだ。そして大抵の人はグループレッスンで勉強をしているから、語学が趣味で話すことを中心に通っている人たちと、将来留学しようとして文法を中心に学習したい人たちが、レベル分けで同レベルであると判断されれば同じ授業を受けることになる。しかし当然ながら授業に期待しているものは大きく異なる。
しかし残念ながら現在多くの大手の英会話学校は、この人たちの要望に答えられているとは思えない。たくさんの生徒を少人数のスタッフと講師でサポートしていくには限界があるし、利益を第一に考えなければいけない企業としてそこまで生徒一人ひとりの事を考える人的余裕も金銭的余裕も(これはどこかにありそうだが)無い。現段階で生徒ができることは、自分の目的をはっきりと持って、生徒や学校のスタッフに自分の意思を的確に伝えることだ。そして、講師が自分の要望を汲み取った授業を行ってくれるのかを見極めること。思い描いていたものと違えばどんどん話し合えばいい。英会話学校にとっても、問題提起が起こって初めて改革されることもある。何よりも生徒が居なくなることが学校としては一番困ることなのだから。遠慮することは誰の得にもならない。

私のスペイン語コースは9月末から12月15日の間に180時間となっている。
まさかとは思いつつ(以前の職業柄)時間数を計算させてもらった。その結果45時間もトータル時間数が足りないことを発見!オフィスの人に申告をすると最初は私が何を話しているのか理解してもらえなかった。計算式を見せて、ゆっくりと説明をしたら理解をしてくれた。驚いていたけれど指摘したことにとても感謝をされた。新しい時間割を作成してくれるそうだ。
間違いは誰でもある。でもそれに対してきちんと応対し迅速に対処してくれたことにスタッフの真摯な姿勢を感じた。こういう一つ一つのやり取りが、大学及び講師に対する信頼感を生み、私自身の勉強への更なる意欲へと形を変えていく。
私は一人で勉強しているわけではないのだ。


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自分のためだけに時間が使える幸せをかみしめてマス。
日本で一生懸命働いて皆様、すみません。
帰国したら一緒に学びましょう。
世界はでっかい!そしてチリはおもしろいよ〜!