髪結いのわんこ

出勤途中で毎朝挨拶をする、床屋さんの犬。勝手にワンワンと名づけています。
「ワンワァ〜ン」、と呼びかけるとふら〜ッと出てきてくれます。

さわられるがままでワンともニャンとも言わないおとなしい犬です。
まったく匂わないし、毛並みもお年の割には艶があるので、可愛がられているのだなあ、と思っていました。

ある朝も、撫でなでしていると、ガラッと戸が開いておばちゃんが顔を出しました。
「いつも声かけて触ってくれてありがとね。これからもそうしてやってください。」

ああ、このタヌキのようなワンワンは本当に愛されているんだね。

なんだか嬉し楽しくて、一人でにやつきました。

おわり。