居酒屋を知らなかった母

チリに行く前の最後の日曜日。
母を誘って、新潟市坂井東にあるお気に入りの居酒屋、「まめ福」へ。ここはとても心地よい場所だ。
家を出る前から母はとても嬉しそうにしていて、私もうきうきと楽しくなった。

なんとこれが彼女の初めての居酒屋デビューらしい・・・。
スナック経営、25年もしてるのにね(笑)。「へえ〜っ。こういうところを居酒屋というのね。」と興味深そうにメニュー表を覗きこんでいた。

一年に数回しか休まずに店を開けてきた彼女は、「今までに一度も仕事を大変だと思ったことはない。仕事があるからこそ子供たちを育てられて、家も建てられて、ボケずに居られたから。」と言っていた。

実際にはいいことばかりではなかった。泣いている母も見てきた。家を出て何年も母と連絡を取らないでいたこともあった。でも今の母の表情は自分に対する自信があって、心から自分の人生に満足しているみたいだった。そう言える母でいてくれて心底ほっとした。私自身、これから新たな夢に向かって歩き出そうとしている時だからこそ、気にかかっていた母の口から聞きたい言葉だったからかもしれない。

自分にも大切なもの、そして夢があるから、何だかんだ呆れられたり心配のあまり怒られたりもしたけれど、私の頼りない未来を応援してくれている。