見えないものを信じる

11日1日は「キリスト教のすべての聖人の日/Dia de Todos los Santos」という祝日です。
この日にチリの人は大きな花束を持ってお墓参りをします。なんだか日本のお盆みたいですね。

今回この祝日が火曜日にあたっているので、日曜と火曜日(祝日)で挟まれて、月曜日もお休みです。
宿題は火曜日にすることにして、月曜日は一人ふらりとサンティアゴへ出かけることにしました。家族には、「サンティアゴで開かれているブックフェアで時間をかけてゆっくり本を探してくる」と伝えて家を出ましたが、他にも隠れた(でも大きな)理由がありました。それは、おいしいお魚を食べること!
やれやれ、私の食への欲求はとどまるところを知りません・・・・。

サンティアゴ旧市街。

サンティアゴに到着してまず向かったのが日本食レストラン。
老舗の有名なレストランです。店内に入ってみて驚きました。まるで日本のお寿司屋さんです!ネクタイ、スーツ姿の日本人男性(そういえば女性は私だけでした)が、日本の新聞を読みながらお茶をすすっているじゃないですか。久しぶりに見る「日本の風景」に少々押され気味になりながらもカウンター席へ。

おすすめの寿司ランチを頼んでみました。
随分と長いこと待たされて(30分位)出てきたのは、6貫のお寿司と小さな海老の天ぷらが2本・・・。確かに美味しかったですけど、これで日本円にして2,000円とは驚きです。待っている間にカウンター内外では、日本人トークが交わされていたのですが、チリ人のウエイトレスの人たちの事を言うのに、「あいつら」と呼び、注文か何かを彼らが間違えてしまった時には、「ほんとあいつら犬以下だな」、「だからこれ以上進歩しないんですよ」という会話が飛び交っていたのには、驚きを通り越して嫌悪感を覚えました。不快感を思い切り出した日本人寿司職人の態度に、チリ人ウエイトレスは肩をすくめて困ったような顔をしていました。
食事を終え、もう二度とここには来まい、と思って店を後にしました。
朝からお寿司のために胃のスペースを大幅に空けてきたのに、お腹も気持ちも満足することができなかった・・・と残念で寂しい気持ちになりましたが、そんな時こそ気分一新!
仕切り直しです!




サンティアゴ新市街、特にプロビデンシア地区やラス・コンデス地区は通りは広く、モダンなビルやレストランが軒を連ねています。

サンティアゴ中央市場内にある、「Donde Augusto」へ直行です。
中央市場の中では新鮮な魚介類、野菜、果物などが売られていて、その周辺には大小のレストランが連なっています。市場内に入るといろんなところから声が掛かります。「オネエサン ビジン ココ オイシイ」とか、人の顔をみて「ウニ、カニ、アワビ」と叫ぶ失礼な人もいます(笑)。この掛け声に立ち止まるともう大変です。一度話が始まると放してくれないのです。それを分かっていたので、私はまっすぐに目的のレストランへ進みました。

陽気で笑顔がキュートなウエイターのジョニーに席を案内してもらったのはいいのですが、隣に座っておしゃべりが始まりました。まず年齢とどこに住んでいるのか聞かれるのですが(これは毎度のことです)、その後もメニューを選ぶのを熱心に手伝ってくれます。本当に心から親切なので、かなり強引に話をしてくるのですが嫌な感じではないです。そのうちに新しいお客がやってきて彼はまた客引きをしに行きました。少しすると戻って来て、「僕のアミーゴが来たんだけど、君と同席してもいいかな?」と言います。私が構わないと伝えると、すぐに40代半ばぐらいの男性が隣に座りました。

彼はドイツ人で、自然発電(風力、水力、太陽発電等)のエンジニアとして年に数回チリに滞在しながら、チリ政府との共同プロジェクトの中で働いているそうです。とても穏やかな優しい人でした。彼とはチリやチリ人に対して思うこと、そしてチリの良さを知った上で母国に望むことについて「スペイン語で」話をしました。私がスペイン語エコツーリズムの勉強をしていることを伝えると話は更に盛り上がりました。お互いの連絡先を交換して別れました。まだ一ヶ月はチリに居るようなので、また会えればと思っています。

Sopa de Mariscos(魚介類のスープ)。たっぷりレモンをしぼっていただきます。
これに白ワインとパンを付けてもらって、日本円で約1,000円位でした。
おいしい・・・来て良かったあ!


Estacion Mapocho で開催されている国際ブックフェア。チリの植物と鳥の本を購入。もっとスペイン語が読めたら世界はもっと広がるのに!

この国に来てから、自然環境系の人に会うことがとても多いことに不思議さとある種の避けて通れない出会いのようなものを感じます。自分が今まで日本やアメリカで関わってきたこと、そして周りからみると(特に両親)遠回りしているように見えていただろうものが、一本の太い綱(イメージは綱引きの綱でお願いします)になっていきます。まだまだ探さなければいけない missing pieces は沢山あるのですが、少しずつ形が見えてきました。
人生はパズルだなあ。一つ一つ見つける過程を丁寧に、楽しめたらと願います。

帰りのバスに乗る頃には、昼間のお寿司屋さんでの出来事も忘れていました。
ガラスが曇っている人にはなかなか見えないものを私は見ている。そして自分を信じてこれからもやっていけそうだと確信することができました。

おまけ:
ジョニーから、「僕のアミーゴ」と言われて紹介されたドイツ人男性でしたが、彼は全くそのジョニーのことを知らないそうです(初対面)。そして彼も私のことを、「僕の日本人の友人」と言ってジョニーは紹介したそうです。お互い一人でご飯を食べるのも寂しいだろうから・・・と引き合わせてくれたようなのです。全く、笑ってしまいます。

どんどん私はこの国が、そして人が好きになっていきます。