バルパライソという街 

街を上から眺める 鳥になった気持ちで
どうして 人は 上から景色をながめるのが好きなのかなあ
どうして 人は 頂上をめざすんだろう

自分の通る道 通らなかった道
選んだ道 選ばなかった道 

こうやって上から見れたら 楽なのに
でもどっちを選んでも ちょっとかかる時間がちがうだけで、結局自分が向かっている場所は同じなんじゃないかって思うんだ

この石畳 このワンコが今居る場所
いったいどんな人たちが歩いてきたんだろう
もう此処には存在しない人 毎日この階段を上り下りする人
階段に腰をかけて休む人もいるかもしれない

彼女は何を見ているんだろう
何かを考えているかもしれないし ただぼんやりしているだけかもしれない
悲しいのかもしれないし 静かに喜んでいるのかもしれない
外側からじゃ見えないことだらけ

そこにいる人の心の状態によって 目に映るものは違うから
たったいま この目で見ているものも 
明日には違うものに見えているかもしれない

でも それでいい
人間は完全な形ではつくられなかった

そこにヒントがあるのだろう

人の心は変わっても そこに住む人は変っても
これからも残り続ける世界遺産の街並み

もっともこの街にとっては
誰かが勝手に決めた自分の価値に意味はない

ただ ただ

今日もこのまま ここに住む人が変わっても ずっとここに存在し続けるだけ