「日本人はみんなお金持ち ②」

彼らと話し合ってから2週間。
私は眠れない夜を過ごしていました。
彼らが放った言葉を消化することができなくて心臓がズキズキと痛みました。

「なんでかなあ?どうしてかなあ?」

考えてみても答えを見つけられるわけもなく、事をこれ以上荒立てたくなくて彼らに従う形になってしまったことに対しても、「自分はこれでいいのか?」と考え続けました。

「このままでもいられないし、気持ちを切り替えて元気をだそう!」
出かけたのは日曜日観光客でにぎわう露天市場。観光客目当てのパフォーマンスが至るところで行われています。

どこへ向かっているのか目的地を持たないまま歩いていたら、いつの間にかツーリスト・インフォメーションの前に出ました。

(5月末まではあの家にいないといけないけど、6月からのステイ先の情報も少し仕入れておこうかな)と軽い気持ちでオフィスの中へ。

少し彼らと雑談をした後、実は6月から長期で暮らせる場所を探しているんだ、と伝えると何かを察知したように、「なぜ6月なの?」と鋭い質問が。このとき私は「もう判断したことだから」と思い、彼らの質問にきちんと答えなかったのですが、その後すぐに知り合った在アルゼンチン20年の日本人女性とこの話になり、彼女も観光にたずさわる仕事をしていたことから観光局の人にこの話がされ、私は改めて詳しい話をすることになったのでした。

「私たちが毎日こんなに頑張ってこの街を訪れる人たちに素敵な時間を過ごしてもらおうと努力をしているのに、そんな人たちがいるなんてとても許せないことです。このままほおって置いたらまた新しい被害者が出てしまう」と激怒。
その日のうちにはもう、彼らの家に乗り込み、人質(わたし?)を解放する計画が立てられていたのでした。私のようなケースは決して珍しいことではないそうです。

観光局の人が数日後にやってきました。
思ったとおり、私が夫婦に観光局の女性を紹介すると、ものすごい目で私をにらんで一言。「まう、いったい何のつもりだ?」こ・・・こわい〜!
「私はただ本当のことが知りたいだけ。彼女と話をしてもらえますか?」と彼らの目を見ずに即答(怖くて見れなかった)。

話し合いは2時間以上続きました。この間、特に奥様はここでは書けないような言葉を発して旦那と観光局の女性を赤面させました。

・日本人は金持ちだからこれぐらい請求してどこが悪い。
・まうがある日突然リビングにやってきて、私たちに殴りかかろうとした(どこからこんなアイディアが生まれてくるのか)

あとで同じ家に住んでいた他の外国人たちと密かに待ち合わせをしたのですが、「実は(申し訳なさそうに)まうには家賃のことを聞かれたら自分たちは倍の値段を支払っていると言ってくれ!」とか「すごく狭い部屋でも東京でアパートを借りると家賃は8万円は下らないらしいから(こんな情報をどこから仕入れているのかは謎です)日本人にとって3万円の家賃は何でもない」と言われていたそうです。

ここには短期で宿泊する人もたまにいるのですが、先日泊まったアメリカ人男性は、宿泊料金「1泊45ペソ(1600円位)」を「45ドル」と勘違いをしたまま1週間分支払ったそうです。このときも彼女たちに「彼には宿泊料を聞かれたら黙ってろ!」と口あわせを強要していたそうです。彼らがなぜそれに反論しなかったのか・・・それはおかしい!と言えなかったのか。彼らに聞いてみることはしませんでしたが、この日の話も私を落ち込ませました。

この家は今後ブラックリストに載り、おそらくこれからより詳しい事情聴取も取られることになると思います。6月末には残りの外国人宿泊者も帰国するため、帰る前には「全部観光局に話してから」帰国する、と言っています。

この家を出ることができて心底ほっとしているのは確かなのですが、どこかまだやりきれない整理できない感情が心の底に残っています。

(暗い話になってごめんなさい)。

ま・・・こんなことも暮らしていればありますって。心配しないでね〜♪