気合を入れろ!

街中でカメラを出すのはいまだに緊張する。
隠し撮りがおかげで上手になった。

本屋さんに新聞や雑誌類は売っていない。欲しいときは露天スタンドで買い求める。
セレクションはどこもほぼ同じだけれど、店によって置いてあるものが少し違うようなのでこの種のスタンドを見つけると必ず足を止めてのぞきこんでしまう。

この組み合わせ・・・懐かし〜!絶妙なんですよ、これ!
エスプレッソコーヒーを注文するとアルゼンチンのカフェでは炭酸水とクッキーがもれなく付いてくる。
この店のフランは今まで食べたどこよりも美味しかった。これ全部で250円くらい。


Cafe ROSSI

Olascoaga 318
Las Heras - Mendoza

のんびりウエイター、マルコスさん。
入店して席に着いてから注文を取りに来るまでに約20分。
ビジネスマンは来れないね。
私がスペイン語を理解する日本人だということが分かると、途端にお仕事モードだった顔をくしゃくしゃに崩しながらある場所の住所が書かれた紙を差し出す。

「ここに21時においで!面白い人たちに会えるよ!」。


渡された住所に来て見ると入り口にはこんな張り紙が。

「ヨガ、空手と、あ・・・合気道!?」


中央には神棚が飾ってある。
二礼二拍手一礼を行い、「よろしくお願いします!」の元気な掛け声で稽古は始まる。
「お願いします」、「はじめ!」、「待て!」「やめ!」。日本語が飛び交う。

「え〜い!やあ!」

格好良く、それでいて勇ましく掛け声をかけるって難しい。
道場の皆さんそれぞれに違う間合いを持っていて、「えい、やあああああああ!」の人もいれば、「えええええええい、や!」の人もいて、失礼ですが何度も笑ってしまいそうに。手の甲を必死につねって我慢。

最後に、「さあ、終わりにしましょ」と軽快な日本語で終了。
一時間半、休憩は無し。みなさん汗だくだく。爽やかな笑顔。いいね!


一番左端が先生。
右端があのマルコスさんです!合気道二段!
昼間は Mozo(モソ/ウエーター)、夜は猛者!かっこいい!

先生に、「私たちの日本語はどうですか?」と聞かれて、「かわいかったです!」と即答をしてしまった(後で少し後悔)。先生は気分を害したようでちょっぴり機嫌を損ねてしまったよう。

本当にみんな合気道を愛していて、隔年日本から大先生が来てくれるのを楽しみにしているようだった。
マルコスさんは毎週3回の稽古をほぼ欠かさず17年間続けているそうだ。

「いつの日か日本に行ってみたいけれど、ぼくたちの今の暮らしから考えると到底無理な話だよ」。
少し寂しそうに、まるで自分に言い聞かせるように淡々と話す言葉を聞いていて、私は何も言えなかった。

彼らに私はどう映っているんだろう?私はどうしてここにいるんだろう?
またいつのまにか戻ってきてしまういつもの問いかけ。

いつの日か。

この人たちのように本当に日本に来たいと思っている人、来ることによってまた自国に戻ったときに日本と南米の架け橋になってくれるような人たちを援助できるようになろう。なるぞ。